デフレ克服に足りないのは「貨幣」ではなく「物語」

"金持ち父さん、貧乏父さん"の一説。

「政府がしっかりしていて、社会の教育程度が高ければ物価は上がらない。
 本当は物価は下がるはず。物価が上がるのは無知から生じた欲望と恐怖のため。」
日本では政府がしっかりしているかどうかは分からないけど、消費者はどんどん賢くなっている。


消費者の賢くなった端的な例は若者の「〜離れ」
首都圏で週末にしか乗らない車を「自家用車幻想」という、何者かが作り上げた物語に乗せられ、大きなローンを組んで高級車を買う若者はほぼいなくなった。(逆に中国やインドなどの途上国では、「自家用車幻想」(利便性・行動範囲の拡大・見栄など)の為に、年収の数倍のお金を出してでも自動車を買っている。)

デフレーションの内の定義を引用すれば、

経済全体で見た需要と供給のバランスが崩れること、すなわち総需要が総供給を下回ることが主たる原因である。貨幣的要因(マネーサプライ減少)も需給ギャップをもたらしデフレへつながる。

この中で総需要というのは「消費+投資+政府支出+輸出(海外からの消費、投資)」で定義されるが、
上記したように、消費者が賢くなり消費しないので、どんどん需要がしぼんで供給多寡になり物価が下がる。
 
それに対して政府は公共事業をしまくったが状況は変わらず。
 
リフレ派の方々は上記の理由を「貨幣が足りないからだ」と仰られているが、
本当に足りないのは「消費」であることに間違いはない。
(各種統計を見ても典型的な金余り状態だし)
 
消費にもいろいろあるけど、衣食住に対するお金は生きるために必要だから使うけど、
生活必需品以外の無駄遣いの量が減っている。
 
何故無駄遣いが減ったかといえば、消費者が賢くなり、経済的に合理的行動をするようになったから。
何故かと言えば、国民が共有していた物語が通じなくなったから。
物語の例を挙げると…
・車を持ったら、彼女が出来る。車での家族旅行は幸せ。
 →車を持ったら、お金が出て行く。普通に他の交通機関でいい。
・海外へ出て、自分探し
 →そんなことしなくても、別に人生変わらない
・家庭の幸せは、子供を持つこと
 →お金が出て行くのが怖いし、そもそも子供を持つ意味って?
  
だから会社や国は、もう一度本気になって、
この国を幸せにする「物語」を作り上げることだ。
もうテレビや映画にだけに頼っていても消費者は振り返らない。
 
アップルの描く未来なんて、
日本が提示してきた「音楽を持ち運ぶこと」じゃないか。
いつから潜在的な需要に対して、何も出来なくなったんだろうか。